昨年秋に帰国したAoiさんは、約半年間のトロント滞在を経験。
トロントに来たきっかけにも驚きだが、そこから人生を変えるほどの充実した生活を送っていた。今回のインタビューでは、Aoiさんの「うまくいった」ポイントを教えてもらう。
Aoiさんプロフィール
22歳。トロントで半年間のワーキングホリデーを経て、昨年秋に帰国。もともと英語は苦手科目だったが、帰国後の今では楽しんで英語学習を続けている。
“ 彼についてきたんです、トロントまで”
− 留学に行ったきっかけは?
お付き合いしている彼がワーキングホリデーに行くことにしたので、私はそれについてきたんです。トロントまで。実は、私は日本から出ようとも思ってなかったんです。「留学」って聞くと、お金のハードルも高いと思っていたし。でもワーキングホリデーなら100万円くらいの初期費用だから、がんばれば行けるなって。彼についていきたい気持ちが99.9%でした(笑)
− 留学に来る前に目標などはあったんですか?
彼よりもいっぱい、現地の友達を作ること!あとネットとかで留学先の過ごし方を見ているうちに日本語教室のボランティアを見つけて、それをやるのが目標でした。
− いざトロントに来るとなったときの気持ちは?
1週間前に飼っている小鳥を友達の家に預けたんですが、それが淋しすぎました。行きたくない気持ち半分、新しい場所に行く楽しみが半分みたいな。
“Outside flesh!”
飛行機の中も空港も、スタッフの人が何を言ってるかわからないんです。自分が思っていた以上に自分が英語を聞き取れない。やばいところに来てしまったって、正直思いました。トロントに着いたのは夜10時過ぎくらい。暗くてあまり見えなかったけど、海外の広い道路にワクワクしました。空港から滞在先への送迎タクシーで、韓国人のドライバーさんがフレンドリーに話しかけてくれました。もちろん英語で。
私は「外の景色が自分にとって新鮮」って言いたくて「Outside flesh!」って(笑)「The view is so beautiful!」とか言えたなあって今ならわかるんですけど。当時の私にはそれ以外のことが思い浮かばなかったんです(笑)
“私ってほんとに英語できないんだ”
− 実際にトロントでの暮らしが始まってからはどうでしたか?
挫折したことは何回かあったなあ。最初のは語学学校の初日(笑)トロントに来た次の日から学校が始まったんだけど、テスト受けてクラスに入ったら彼とクラスが離れたんです。彼は英語ができて、私はできない下のレベルのクラスでした。私の英語がどのくらいできないかというと、Where are you from?に答えられなかったんです。聞き取れなくて、whereとwhenが混ざって理解にも時間がかかって…日本人の女の子2人が休憩中話しかけてくれたんだけど、語学学校はAll Englishのルールだから英語で。私はその子たちがなんて言ってるのがわからなくて、私って本当に英語が聞き取れないんだって。友達作るタイミング失ったかもって悲しくなりました。
− どんな学校に通ったの?
Access Englishっていう学校で、クラスは8〜11人くらいの少人数でした。アジア系は日本だけしかいなくて、あとはヨーロッパが多かったかな。フランス、ドイツ、スペイン、メキシコとか。放課後のアクティビティが多かったです。でも私は「勉強したいのに」っていう焦りがあったから、素直に楽しめないときもありました。だから授業が終わってから、復習をしたりわからない単語を調べたり。最初の1ヶ月は図書館・家・学校の往復でしたね。
“がんばってきた自分のためにがんばる”
− 何がきっかけでいい方向に行ったの?
もう折れそう、帰りたいなって思ったときに、自分が3年間貯めたお金が水の泡になってしまうなって思い直したんです。コツコツ貯めたお金が、そのために今までがんばってきた自分が可哀想。貯金を貯めた自分のためにがんばったっていう感じです。
“日本にいた自分のまんま海外にいたらダメ”
−「こうしたらうまくいった」っていうポイントは?
英語の勉強や留学を楽しいと思えるようにすることです!やっぱり人と関わるのが好きだから、話に来てくれた人にフレンドリーに対応したいっていう気持ちがあって。友達と話すために英語がんばるという感じでした。日本にいた自分のまんま海外にいたらダメだなって、全てにおいて一歩踏みだすことを意識していました。カナダにいる間はやるしかないと思って。
− 自分で気に入った過ごし方はどんなものだった?
走りまわることです(笑)Meetupに行きまくってました、週3〜4回くらい。あとは、誘われた遊びに毎回行くようにしていましたね。仕事の前でも「少しの時間でもいいなら行くね!」って言って顔は出すようにして、会った時間よりも回数を大事にしていました。
“自分が何もしなければ輪は広がらない”
− その行動力やモチベーションはどうやって保っていたの?
自分が何もしなければ輪は広がらないから。「人と話したい」っていうことをモチベーションにすることで楽しく英語学習ができていましたね。次会ったときに言いたいことを調べて、そのフレーズを言う練習をしていました。ゆっくりしたいなって気持ちがあるときも、行ったら楽しいから行くっていう感じでした。あとは、前の週から翌週の分のMeetupイベント参加予約しておいて、絶対に行かなきゃいけないようにしていました。トロントは端から端でも1時間だから、気持ちさえあれば行けないところはないし。
あとは、Meetupでは英語を学んでいる日本人とも知り合えるんです。その子たちから英語学習の方法を聞いたり、刺激をもらったりしていました。相乗効果というか、私もがんばろうって思える「同志」のような存在でしたね。
“Aoiってフレンドリーな子なんだな”
− 新しい友達を作るコツはありますか?
イベント開始時間の少し前に行くことです。他の参加者が来る前に席に座っておいて、Welcomeする側になるんです。それで後から来た人に対して「What your name?」とか「Where are you from?」とか質問します。すると簡単な英語しかわからなくても、そうすればその輪の中心になれるから。「Aoiってフレンドリーな子なんだな」って思ってもらえるっていう作戦です!あとはイベントでInstagramを交換した人に、帰りの電車の中で全員にメッセージを送ってました。わからない言葉を調べながら(笑)
“英語勉強中です!だから教えてね!”
− どんどんステップアップしていったんですね!ワーキングホリデーはどうでしたか?
自分の英語力では、英語でお客さんに対応するサーバーになるのは難しいだろうなって思っていて。ディッシュウォッシャーとかキッチンの裏方をやるなら、せっかくならローカルのお店で働きたいという思いが湧きました。海外の人と話せる環境で働けたらいいなって。
そしたら、ローカルのレストランでディッシュウォッシャーとして働くことができたんです!日本人はほとんどいなかったので、英語環境でした。みんなとてもフレンドリーで、雑談をふってくれるんですよ。「英語勉強中です!だから教えてね!」っていうのを伝えておいて、わからないときは素直に聞くようにしていました。
“英語が話せなかったのに、海外で友達も仕事もできた”
− トロントでの生活を振り返ってみて、自分が変わったなと思うことは?
半年でもびっくりするくらい変化がありました。一番大きな変化は、自分の好きなことが増えたことです。野球、ボードゲーム、英語… 英語はもともと嫌いに近い教科だったのに、苦手意識がなくなって、今では楽しんで勉強できるようになりました!英語が話せるわけでもないのに、海外で友達ができてお仕事もできて、日常会話ができて、生活できた。私って自分が思っていたよりも強いんだなって。
− 日本に帰ってからも何か変化はあった?
日本に帰っても、カナダで会った友達との交流は続いていますよ。Instagramで連絡を取り続けたり、ときどき電話をしたり。あと、日本でも1回meetupに行って、新しい友達ができました!日本でも英語を話せる環境ってがんばれば作れるんだって思いましたね。せっかくついた英語の力をもっと伸ばしたいな。
“大事なことは、来ることじゃなくて「来て、何をするか」”
− トロントに来てもあんまり上手くいかないなっていう人にアドバイスがほしいです!
なんとなくきて、上手く行かない人は、外に出てない気がするなあ。住み慣れた日本から離れることも大きな勇気がいることだけど、それで終わりじゃない。大事なことは来ることじゃなくて、来て、何をするか。できないことはできない分やらないとできるようにはならないし、全力でやったからこそ得るものも大きい。
編集後記
MeetupでAoiさんと会うこともあったんですが、いつも笑顔で英語を話そうとトライする姿に、私もがんばろうという気持ちになっていました。今回お話を聞かせてもらって、留学生活の質は自分の行動次第で全然違うんだなと実感しました。「知らないから知りたい・教えてほしい」というまっすぐな向上心を私も忘れないようにしようと思いました!
取材&文/Ai Hadano