約7ヶ月の留学から帰国したTomoyaさんは、晴れ晴れとした表情でトロントでの日々を振り返った。キャリアのため、自身のスキルアップに力を注ぎ、将来の夢に向かって階段を大きく駆け上がった。未来のトロント留学生に熱いエールを送る。
Tomoyaさん
24歳。通信制の大学に通いながら、トロントに7ヶ月間滞在。今年12月に帰国し、将来の目標「英語の先生になる」ため採用試験に向けて勉強中。
−久しぶりの日本はどうですか?
満喫していますよー!日本に帰ってきて違いを感じたのは、ちょっと暖かいなくらいでした(笑)ただ次の日には、ボディクリームが無くても身体が乾燥しなかったり、水が軟水なので味がしなかったりってことに気が付いて帰ってきた実感が徐々に湧いてきましたね。
家族とごはんを食べたり友達と遊んだりしながら、大学の勉強を継続しています。
−トロントでの日々を振り返ってみてどうですか?
払ったお金に見合ったものを持って帰れるのかなと正直不安だったんですが、自分が思ってたよりもいろんなことを経験できたのかなと思います。7ヶ月前には見られなかったものを、見て帰って来れたなと。
“英語の先生になりたい”
−留学は念願叶ってという感じだったんですか?
留学に行きたいって思ってたのは、なんとなくだったんです。英会話スクールに4歳から高校3年生まで通っていて、英語はそこそこできるような感じでした。でも英語の先生になりたいっていう将来の目標を意識したとき、自分の英語が海外で通じるのかって自信がなくて。だからトロントで自分の英語でのコミュニケーション力を伸ばして、自信を持ちたかったんです。
“神様に背中を押されたような気持ちでした。やるなら今だなって”
−留学に行こうと決断したきっかけは何かあったんですか?
コロナでちょうどいいタイミングで行けなかったので、半ば諦めていたんです。というのは建前かもしれないですね(笑)今までずっと目を背けていたんです。自分は留学に行けないと、自分で決めつけていて。同級生は社会人ばかりで、自分も早く自立しないとという焦りがあったし、留学に行って家族や友達と離れるのは孤独だとわかっていたので。
そんなときに、ある教員の方と話していて「やり残していたことがあるならやっておいた方がいいんじゃない?」と言われたんです。やり残していたこと=留学だなというのは頭にあったんですが、実行に移すには至らなくて。
ちょうどそのタイミングで、恥ずかしいんですが、教育実習の申し込みを期間を見逃してしまったんです。それで採用試験まで1 年間、空白の時間ができたんです。自分のミスだけど、神様に背中を押されたような気持ちでした。やるなら今だなって。
“好きなことを仕事にするっていいな”
−英語の先生になるために自信を持ちたくてトロントに来たんですね。そもそも、なんで英語の先生になりたいと思ったんですか?
僕が通っていた英会話スクールの先生たちって、英語を教えるのが好きな人たちなんですよ。好きなことを仕事にしているんですよね。そういう人がずっと身近にいたので、自分も「生活のために」っていう理由でやりたくないことをやりたくないと思ったんです。好きなことを仕事にするっていいなって。それが中学生のときくらいからぼんやりとあって、大学3年生のときにそれがはっきりとした夢になりました。
−トロントに留学している間、大学は?
僕は通信制の大学に通っているんですけど、休学とかはせずにそのまま来たんですよ。日本から教科書を持っていって、レポートを書いたりオンライン授業も受けていました。
−トロントではどんな学校に通っていたんですか?
RCIIS (Royal Canadian Institute of International Studies)に3 ヶ月間、スピーキングを重点的に勉強しました。発音のレッスンにも行っていたんですけど、日本では習えない発音の違いなどが学べて良かったです。
RCIIS 卒業後にSGIC(St. George International College)という別の学校で、2ヶ月間の英語教授法のコースをとって、語学学校の先生になれる資格を取得しました!
“日本ではできない経験がしたかった”
−2つも学校に通ったんですか?
SGICに行ったのは、将来のためっていうのももちろんなんですが、英語で英語じゃない何かを学ぶという経験をしたかったからなんです。日本ではできない経験ってことで、就活の際に他の人との差別化にもなるんじゃないかなとも思います。SGICでは模擬授業など実践的な授業もあってハードな部分もありましたが、先生やクラスメイトのおかげもあって、乗り越えることができました!
−学校選びのときに意識したことはありますか?
英語プラス、何か日本に持って帰るということを意識しました。自分の的に合った学校をNorth Peakのカウンセラーさんに提案してもらって、「トロントでの経験」を重視しながら選びました。
−ここでの「経験」というのは?
コミュニケーションをとる機会ですね。いろんな人に自信を持って話せるようになりたかったので、できるだけ人と多くコミュニケーションを取れるように、学校に行くという選択をしました。友達もできるかなと。実際、学校はアットホームな雰囲気で友達もいっぱいできました!
“僕、何も持ってないじゃん”
−トロントで積んだ経験の中で、一番苦しかったことはなんですか?
職探しですね。日本では学歴の影響が大きいけど、トロントでは圧倒的に経験重視。雇う側の立場になって考えたときに、経験のない人を雇うなら、確かに英語が話せる外国人じゃなくて現地の人を雇うよなって。「英語が喋れるだけじゃダメなんだ」って。僕は飲食店で働いた経験がなかったんです。だからそのとき、自分には何もないなって思っちゃったんです。日本では人から認められるような学歴があったのに、トロントに行ったらこれまで積み上げてきたものがゼロになって。僕、何も持ってないじゃんって。でも、それもいい経験になりました。何もない中でも、自分でなんでもやっていかなくちゃいけないっていう。自分のことに一生懸命になれて、泥臭くアピールするようになりました。3週間ほど奮闘して、無事に仕事も決まりました。
−では、トロントで一番楽しかったことはなんですか?
友達とたくさん遊びに行ったこと!何気ない日常というか、学校で予定を立てて週末に遊びに出かけるのが好きでした。彼らとは今でも連絡をとっています。
−トロントでの経験を経て、日本でこれからの予定は?
5〜6月くらいに教育実習に行って、6月末の採用試験を受けます。再来年の4月から中学英語の先生として働けたらと。
“目が眩んでしまっても、信念は見失わないで”
−今留学をしている人や、これから留学を考えている人にメッセージをお願いします。
信念を見失わないようにしてほしいですね。僕にとって、留学中のアクションは全部将来のためで、留学の目的である「自分の英語力を伸ばす」ことをいつも意識していました。お金とか楽さとかに目がくらんでしまっても、当初の目的に沿わないことをしないでほしい。例えば、英語を伸ばすためにカフェで働きたかったけど、チップが高い日本食レストランで日本語を話しているとか。自分の目標・信念に向かうように行動していくと、充実した留学生活になりますよ。
あ、ワーキングホリデーに行きたい人は飲食店で半年以上働いてから行くのをおすすめします(笑)
編集後記
自分の目標を達成したと胸を張って言っている姿を見て、私も帰国したときにそうでありたいと思いました。Tomoya さんは常に将来や自分の目標を意識した選択をしたから、7ヶ月間の留学生活を「思い出」ではなく「キャリアの一部」として、日本に持ち帰ることができました。私も、トロント来た目的や目標に見合った過ごし方をしていきたいです。
取材&文/Ai Hadano